知的障害の認定要領について
知的障害での障害年金の認定基準は次のようなっています
知的障害の認定基準は、平成23年9月1日から大幅に改正されました。
改正前は、知的障害(精神遅滞)として、発達障害を含んだ内容でしたが、改正後は「知的障害」として「発達障害」と区別をして認定することになりました。
知的障害も発達障害も生まれつきのものが多く、幼少期から小学校低学年で障害に気づくことが多かったため、同一の認定基準を適用していました。しかし、発達障害では、アスペルガー症候群のように20歳を超えてから気付いて初めて病院を受診するようなケースが多発し、幼少期から障害が明白な「知的障害」と区分をしたほうが合理的との判断があっての改正です。
具体的な改正内容は、
①知的障害の例示の改正
1級と2級の例示を本人のできる行為と意思疎通とについて分けて記述し、より詳細な表現になって、判断がだいぶしやすくなっています。
・1級
知的障害があり、食事や身の回りのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの(日常生活への適応が困難で常時介護を要)
・2級
知的障害があり、食事や身の回りのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常にあたって援助が必要なもの(日常生活における身辺の処理にも)
・3級
知的障害があり、労働が著しく制限を受けるもの
②知的障害と併存する精神疾患については、併合(加重)認定は行わずに、総合的に判断をすると明示した。
当然、新たに設けられた発達障害も併合認定でなく、知的障害と一緒にして総合的に判断することになります。
③改正後は、日常生活能力等の判定にあたって、就労している場合の実態をよくとらえて判断するように、詳しい説明を加えた。
例えば、就労支援施設や小規模事業所などに参加する者ばかりでなく、雇用主が知的障害者に配慮して就労させている場合にも、単純に就労していることをもって労働能力を高く評価し、障害の程度を過小評価することがないように例示しています。このことは、改正前には、就労していることが障害の過小評価につながって、適切な判断がされなかった例が多々あったのではないかと思われます。