事後重症で支給決定がされてしまうと、障害認定日請求はできなくなってしまいますか?
事後重症で支給決定がされてしまうと、障害認定日請求はできなくなってしまいますか?
このようなご質問がどうしてあるのかというと、まず、事後重症請求とは障害の原因となった病気やけがについて初めて病院で診察を受けた日から原則1年6ヶ月が経過した日(この日のことを「障害認定日」といいます)においては障害等級に該当しない人が、その後症状が悪化して障害等級に該当するようになった場合に、65歳になる前日までに障害年金を請求することで、障害年金の受給権が発生するものです。
事後重症請求の場合には、障害年金の受給権は請求手続きをした月から発生し、年金はその翌月分から支給されます。
それに対して、障害認定日請求は障害認定日において障害の状態が障害等級に該当している場合に、障害年金を請求することで障害年金の受給権が発生するものです。
障害認定日請求の場合には、障害認定日がある月から受給権が発生し、その翌月分から支給されます。
そして、障害認定日請求の最大の特徴は、請求する時期が遅れてしまっても、障害認定日まで遡って障害年金が支給されるところです。ただし、年金の請求時効は5年ですので、5年より前の期間分の年金は支給されません。しかし、5年分の年金であっても遡って支給されるとなると年金額は障害基礎年金2級でも400万円近くと多額になります。障害厚生年金ではさらに多くの金額になることが多いです。
この理由により、事後重症で支給決定がされてしまうと、障害認定日請求はできなくなってしまいますか?というご質問をお受けします。
法律の条文だけを見て判断しますと、事後重症で支給決定を受けたということは「障害認定日に障害等級に該当していない」ということになります。
しかし、現実には障害認定日の時点の状態が書かれた診断書を入手できなかったなどの理由でやむなく事後重症請求で受給権を取得しているケースがあります。そのような場合のために、既に決定している事後重症の受給権を取り下げ、障害認定日による請求を行うことが実務上認められています。